心して味わいたい。660余年の歴史ある老舗「塩瀬総本家」の代名詞、「塩瀬饅頭20個入り」

心して味わいたい。660余年の歴史ある老舗「塩瀬総本家」の代名詞、「塩瀬饅頭20個入り」

2018/10/25

創業から660余年もの歴史を誇る「御菓子老舗 塩瀬総本家」。塩瀬誕生のきっかけでもあり、今なお愛され続けているのが「塩瀬饅頭」。小さく白いお饅頭に込められたさまざまな人の思い、そして老舗ののれんを守り、次の世代につなぐという責任と信念について、塩瀬総本家の星秀行さんにお話をうかがいました。

この記事のまとめ

    白くてちいさいお饅頭に込められたさまざまな人の思い、そして老舗ののれんを守り、次の世代につなぐという責任と信念について、塩瀬総本家の星秀行さんにお話をうかがいました。


    塩瀬総本家の星秀行さん

    取材してきました!! メーカーの“こだわり”

    室町時代から平成へ、塩瀬660余年の歴史

    「御菓子老舗 塩瀬総本家」(以下、塩瀬)の起源は、室町時代にさかのぼるのだそうです。室町時代といえば、茶の湯が盛んになるなど新しい文化が生まれた時期。そんな背景のなかで塩瀬が誕生した経緯、そして現在までの歴史を星さんが教えてくれました。

    「1349年(貞和5年)、宋で修行を終えた龍山徳見という僧侶の帰国に伴い、弟子であった中国人が来日しました。この人物こそ、のちに「塩瀬」の始祖となる林淨因(りん・じょういん)です。奈良に居を構えた淨因は、お饅頭を作って商いを始めました。中国では肉をつめた饅頭(マントゥ)が食べられていましたが、当時の僧侶は肉食が禁じられていたため、小豆のあんを皮に包んで蒸し上げました」

    やわらかくて甘いお饅頭は、僧侶だけでなく、寺院に集う上流階級に大評判になったそうです。

    「中国から仏教とともにお茶が伝来しましたが、そのお茶菓子として親しまれていったわけです。当時、甘い物は価値が高く、淨因の作ったお饅頭は日本で最初の甘いお菓子と言っても過言ではありません」

    林淨因肖像画

    淨因のお饅頭は、後村上天皇に献上されるまで人気を集めたそうです。天皇は淨因を寵遇し、結婚のお世話までしてくれたとか。結婚に際し、淨因が周囲に配ったのが紅白饅頭です。今でも婚礼などの慶事で紅白饅頭を配る習慣がありますが、そのはじまりを作ったのは淨因だと言われているそうです。

    「その後、拠点を京都へ移し、淨因の子孫たちが中国の宮廷菓子を学んで作ったのが、『薯蕷(じょうよ)饅頭』でした。薯蕷饅頭とは山芋をこねて作ったもので、これが現在の『塩瀬』のお饅頭に伝わっています。屋号を「塩瀬」とした林家は、安土・桃山時代には豊臣秀吉、徳川家康の寵愛を受け、江戸幕府開府とともに、徳川家康に従って江戸に移りました。現在、塩瀬の本店が東京にあるのはこのためです」

    明治初年からは宮内庁御用達をつとめ、戦後は婚礼の引き出物といっためでたい席で人気を集めるようになりました。現在は本店をはじめ百貨店で幅広い層に親しまれています。


    食べてみました!! 商品の“こだわり”

    塩瀬の代名詞「塩瀬饅頭」が愛される理由

    お饅頭に端を発した塩瀬ですが、現在は羊羹、焼き菓子、最中、アイスクリーム、ぜんざいなど さまざまなお菓子を作っています。
    そのなかで一番の売れ筋はやはり、塩瀬の代名詞である「塩瀬饅頭」。
    この小さなお饅頭が、塩瀬の売り上げの約4割をも占めているのだそうです。

    「塩瀬饅頭で使われているのは、小豆、砂糖、米粉、山芋、水飴。原材料はいたってシンプル。水は一切使わず、山芋の水分だけで生地をまとめています。使用しているのは千葉県多古町(たこまち)の大和芋。芋の水分量は、夏は多くなり、冬は少なくなります。その水分量を見極め、四季を通じて変わらぬ味を守っているのは、職人のさじ加減と言えます。芋の粉を使って作る方法もあるのですが、そこだけは意地でも変えないという信念が塩瀬にはあります」

    小豆は北海道十勝・音更町(おとふけちょう)のものを厳選し、こしあんにしています。上白糖は使わず純度の高い「白ザラ糖」を採用。

    「塩瀬では、一途にあん作りだけをおこなう職人がいます。塩瀬饅頭のあんは“こしあん”です。小豆の皮が残る粒あんなら小豆の9割を食べることができますが、雑味やえぐみを含んでしまいます。こしあんは皮などを取り除くと元の分量の4割にまで減ってしまいますが、あんのおいしさは食べればわかっていただけると思います。これが塩瀬のこだわりです」

    会社が掲げる信念に「材料落とすな、割り守れ」という言葉があるそうです。これは、たとえ天候不順などで材料の入手が困難になっても、安易に他の物で補わず、塩瀬に代々伝わる割合を守りなさいという教え。この強い思いこそ、塩瀬ののれんを長く守ってこられた理由なのかもしれません。確かに塩瀬でも機械化は進んでいますが、職人による作業を補助するものであり、今でも秘伝のレシピを忠実に守り続けているそうです。


    「あえて変えない」という挑戦

    誕生から660余年もの歴史を背負うプレッシャーについて星さんにうかがいました。

    「そりゃありますよ。塩瀬の看板だけは守りたいという思いは、全社員にあると思います。室町時代に始まり、さまざまな時代をくぐり抜け、塩瀬の名を守ってきた人の思いやプライドは並大抵ではなかったはず。それを私たちの時代で途絶えさせては、今まで守ってきた人に申し訳が立ちません」

    洋菓子や輸入菓子、さまざまなトレンドが生まれるなか、時代にあわせて新しいものを作ったり、もともとあるお菓子をアレンジしたりする和菓子メーカーもあるなか、塩瀬は強い信念を貫いています。

    「ご時世にあわせた商品もと思いつつ、『あえて変えない、新しいものを作らない』ということも、挑戦だと思うのです。私たちには歴史も技術もこだわりもある。塩瀬を長く愛してくださるお客様もいる。だからこそ、自分たちのスタイルを貫くということも、挑戦だと思っています」

    塩瀬といえば、老舗で高級な“よそいき”というイメージがありますが、星さんは「塩瀬饅頭は日常のおやつとして食べてほしい」と言います。

    「芋にこだわり、小豆にこだわり、砂糖にこだわった、この素朴なお菓子を、ぜひお子様にも食べていただきたいです。子どもは和菓子が嫌いなのではなく、食べる機会がないのだと思うのです。甘くてやわらかいこの塩瀬饅頭は口に含むとやさしい気持ちになれる、そんなお菓子です」


    塩瀬饅頭を通じて、老舗の自信と余裕を知る

    塩瀬総本家の包み紙です。
    今まで自分で買うことはあまりなかったのですが、引き出物や贈り物に、この紫の包装紙を目にすると、「あ、塩瀬だ!」とテンションがあがります。


    箱には、シンプルながら老舗の落ち着いた佇まいと高級感があります。


    塩瀬饅頭は小ぶりなサイズが特徴的。
    お茶だけでなく、コーヒーや紅茶、そして意外にも赤ワインとの相性も良いです。



    これが塩瀬の売り上げの約4割を占める「塩瀬饅頭」です。「志ほせ」と焼印される理由は2つ。「塩瀬」の2文字だと割り切れるため、縁起のよい3文字の奇数にしたそう。そして「志」という字には、相手を敬うという意味があるからだそうです。

    星さんにおいしい食べ方をたずねると「すぐ食べる、そのまま食べる」との即答が。小麦で作られたお饅頭に比べて、山芋を主原料とした薯蕷饅頭はかたくなりやすいのだそう。そのため、封を切ったらできるだけ早く食べてほしいとのこと。

    もしかたくなってきたら、焼き饅頭や揚げ饅頭にしてもおいしいとのこと。老舗の看板饅頭を焼いたり揚げたりするなんて、なんだか恐れ多いです……。と言いながら、さっそく実行。

    トースターで焼くこと3分。 表面においしそうな焼き目が つきました。


    そのまま食べると歯ごたえはしっとりとしていますが、焼くと皮のもっちり感が増します。
    ほんのりあたたかくておいしいです!

    揚げ饅頭にも挑戦。 少量の油で、 揚げ焼きにしてみました。


    焼き饅頭よりさらにモチモチするのかと思っていたら、予想に反してサクッと軽やか。
    水分が抜けたのか、皮が薄くなったように感じました。
    アツアツのあんは、甘みが際立った印象。ごま油もあいそうです。

    伝統ある塩瀬饅頭は、焼いてもよし、揚げてもよし。
    「私はブレないけど、あなたの好きなようにどうぞ」という余裕を感じさせてくれました。
    この余裕こそ「あえて変えない、今のスタイルを貫く」という塩瀬の自信のあらわれなのだと思いました。

    この記事がいいと思ったらボタンを押してね!

    執筆: くらしと編集部

    記事内で紹介している商品

    関連記事

    人気記事

      紹介している商品を見る

      記事内で紹介している商品